2017.08.08 Tuesday
2017.07.25 Tuesday
ヤマハ「Z EXPRESS」ライヴで発見したこと
それは最初、単なる一回だけの企画バンドだった…はずなんです。
「Z EXPRESS」ビッグバンドは、ヤマハの「Z」シリーズを愛用する音楽家を中心に臨時編成されたバンド。
上は2016年の楽器フェアでの1シーンです。この時が最初のお披露目で、バンドライフ第4号の裏表紙を飾ってもらいました。
この時の演奏が大好評で、2017年4月22日には「臨時」ではなく、
恒常的に活動するバンドに昇格したことをお披露目するコンサートを開催。
下は、それを報告したバンドライフ第6号より。
そう、この時には亡き宮本大路さんを偲んでI LOVE YOUのハンドサインをしてもらったりしたのでした(撮影:森島興一)。
この時はチューバマンショーや雲井雅人さんがゲストだったんですね…
その彼らの実質「第三回目」のライヴが2017年7月24日、東京・目黒ブルースアレイ・ジャパンにて開催されたのです。
下はその時のスナップ。
右のスクリーンは、会場中央にデーンと屹立している巨大な柱が邪魔!というお客さんのために用意されたもの。
ここに映っている福井健太さんは実は画面左端でソロを立奏していてるのですが、手にしているものにご注目。
白い棒みたいに見えるこれは、
ヤマハのVENOVA YVS-100
という楽器。
プラスチックの管体にソプラノサックスのマウスピースを装着し、タテ笛と同じ指使いで2オクターブが演奏可能、という新提案。VENOVAは「ヴェノーヴァ」って読みます。
「風」を意味するVENTと「新しい」を意味するNOVAが合体したネーミングなんだろう、たぶん。
福井健太さんは、このVENOVAの発表会でもご覧のように実演を披露してくれました。
これが7月10日のこと。この時はごく簡単なお披露目で終わりましたが、7月24日の「Zエクスプレス」ライヴでは、VENOVA を手に《Someone to watch over me》《Summetime》で素晴らしいフィーチャードソロを展開。
現在のところ、世界でもっともVENOVAに習熟したVENOVER(「ヴェノーヴァー」って書くのかな…スペルも格変化も適当なのでご容赦)だと言って笑いをとっていた福井さんですが、初めてその本格的な音色&演奏を聞いてびっくり!
この日は世界的なトランペット奏者、エリック・ミヤシロさんがゲストで登場したんですが、その際にもVENOVAで共演してました。
そのときの写真が下記です。
正直な話、この日までVENOVAなんて単なるオモチャだと思っていました。
いやもちろんそのオモチャ的な外観に「分岐管理論」だとか「3Dプリンター活用」だとか、業界的に注目すべき技術が盛り込まれているのはわかるんですよ。
だけど、その本格的な演奏を聴いて、正直感動さえしてしまったわけです。他の人は知らんけど。
音には確かに樹脂の軽い響きがまといつくけど、それが決して悪い方向に作用してはいない。
むしろ逆に、これまでにない軽やかな丸さみたいなところに結びついて、クラリネットでもソプラノサックスでもない(もちろんオーボエでもフルートでもない)新しい高音木管楽器ではないか!と思わせる実力を感じさせたんですね。
そこまでの表現を可能にしたのは、福井さんの技術とセンスがあればこそだとは思うんだけど…そして。発音はともかく指使いは確かにちょっと難しそうだけど…
でも、ちょっと難しいくらいのほうがやる気にさせるんでしょうね。
帰り道。
とあるプロの音楽家が「買っちゃおうかな」と呟いた。
店頭価格は1万円くらいだというから、確かにオモチャとしては高めだけど。その気になった人には「買っちゃえ!」と思わせる適度なハードル感がある。
肝腎の「Zエクスプレス」の話をする隙間がなくなっちゃったけど、以下に簡単に楽曲と状況をメモしておきますね。
第一部:
リーダー三塚知貴さんオリジナルのオープニングに続いて《Aトレイン》も三塚オリジナルアレンジ。低音部隊がかっこいい。《There is no greater love》に続き《Someone…》でVENOVA登場。《When I fall in love》ではリーダー三塚さん&トロンボーン隊がフィーチャーされた。そしてエリックさん登場してピッコロトランペットを駆使した《Winter game》《Sir Duke》、そして恩師メイナード・ファーガソンへの想いをこめた《明日に架ける橋》、ディジー・ガレスピーの楽しいエピソードをバラしつつ《Tanga》(エリックさんによれば、この楽曲の主題は街を行き交うTバック水着に興奮したディジーの呟きがモチーフになっているそうですw)を経て休憩。
休憩時間にはVENOVAを試したい人がわんさか。
エリックと丁々発止のソロバトルを展開した天才トランペット奏者、赤塚謙一さんもVENOVA堪能中、というのが下記の写真。
第二部はリーダー三塚さんのソロで始まる《Spain》、VENOVER福井による《Summer Time》きらびやかなアレンジの《魅惑のリズム》、バラード《Emily》に続いてゲスト、エリックさんを迎えての《Knee Deep in Rio》(エリックさんのバークリー音楽大学時代の同窓生、トム・カーリンさんの作品)から全員ソロで大奮闘した《Birdland》、アンコール一曲目が《スウィングしなけりゃ意味ないね》、そしてエリックさんを迎えて《GONNA FLY NOW〜ロッキーのテーマ》で大団円。
いやー凄かった。
次回は、10月30日。
同じ「ブルースアレイ・ジャパン」で開催されるそうです。
次回のゲストは、「深夜奏書」で有名なテナーサックス奏者、三木俊雄さん。
というわけで、次回はブルースアレイで三木さんと握手!
2017.07.04 Tuesday
逗子鎌倉が面白い!
次号は巻末で「逗子・鎌倉 楽器族」特集
写真は、現在はドイツと日本をまたにかけて活躍するオーボエ奏者・吉井瑞穂さん(撮影:平林亜美)。
鎌倉生れの彼女は、生まれ故郷で新しいスタイルの音楽祭レゾナンスを主催しています。
次号ではそんな彼女に鎌倉を案内してもらう…という、音楽雑誌には有り得ない展開を企画しました。
また、鎌倉を拠点に活動する鎌倉交響楽団などのアマチュア音楽団体のホームページ一覧を二次元バーコードでつくりました。
あ、本誌は鎌倉エフエムで番組バンドライフタイムも展開中。
それら鎌倉関連の楽器族記事は番組とも今後連動して行きそうです。
ついでに…
引退後は逗子を拠点に、全国各地で活躍中。
こんな本も出版しました。
可愛い見てくれですが、ここには彼が長年培ってきたエッセンスがぎっしり。
そこに記された奏法のアドバイスは、具体的に、かつ斬新なアプローチでトランペット演奏の技術的向上を促進してくれるはず。
ホトケさん率いる「J’z Craze」の動画《ラ・フィエスタ》もどうぞ!
たとえば「ひうお」という発音をこの本の中で彼は重視していますが、それは「ブラスト!」で大人気を博したアダム・ラッパの新・喇叭道にも共通するアイディア。達人はみな同じ境地に達するのです。
そこでアダムは、Heuuwoというシラブルの重要性を音声付(附属CDに収録)で解説してくれています。
それを応用したピッチベンド(ヴァルヴを使わずに音を上下させる)テクニックをこちらでぜひ!